今更ながら「鹿の王 上」を読んだので
2015年本屋大賞を受賞した,鹿の王を今更ながら読んだ.(前から持ってはいた)
人生は一度きりで,1日1冊読んでも全ての本を読み切ることが出来ないことに気づいたので,出来る限り読みたいと思い最近はよく本を読んでいる.
本屋大賞を受賞しただけあって,文字の羅列なのに色鮮やかな風景が脳裏浮かび,匂いまで感じれそうになった.
まだ上巻しか読んでいないが,今のところの感想を書き残しておきたい.
生命と人生の物語
この物語は,奴隷として監禁されていたヴァンの話と,病気に侵されてしまう国の話の二方面から進行していく.
名前が独特なので最初は読みづらいかもしれないが,読み進めていくうちにパッと入ってくるようになるから安心してほしい.
読んでいて感じたのは,一冊に込められている物語の壮大さだ.
大きな世界がこの一冊に丹精に込められていて,読んでいると時間が経つのを忘れてしまう.
ヴァンのお話
ヴァンは,監禁されていた時に襲撃してきた犬のようなものに噛まれる.そこから物語は動き出す.
監禁されていたところから抜け出し,幼い生き残りの少女ユナと共に,国を逃げ出し自由を得ようとする.
この二人は親子では無いが,まるで親子のような信頼関係を得,様々な人達と出会いながら「黒狼病」という病気と出会う.
時折自分の身体と魂が分かれてしまうような感覚になるヴァンは,その原因が犬のようなものに噛まれたせいだと知る.
下巻では,これが病原菌の話とどう噛み合っていくのかが楽しみである.
病気に侵される国のお話
病気に侵されてしまう国には二つの医療があり,1つはウイルスが身体で悪さをしているから,それを弱らせた物を体内に入れて抗体を作るような医療技術で,もう一つは100人いれば100人の病気があるから,原因が他にあろうと人をしっかり見て,その人にあった処置を施すという技術だ.
後者は,人間は人間で動物は動物だから,動物の血から作ったワクチンを体内に入れることは,神の意思に反するということで絶対に入れない.
なので,ワクチンを摂取すれば助かる可能性があるにしても,絶対に入れないというスタンスを取る.
人間以外の血を入れ(汚れてまで)生きるより,死んだ後に必ず救われることを生きている人に諭す.これもある意味で救いかもしれない
下巻で話はどのように転がっていくのか非常に楽しみである.