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シン・ゴジラ レビュー

ゴジラを全く知らない人間が,庵野監督の映画シン・ゴジラを見た感想を直球で書きたいと思う.

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ゴジラ”という単語くらいは,黒くてでかい怪物,という知識レベルで知っていた.また,黒い怪物が日本で大騒ぎして退治する物語なんだろうな,と思いながら,それでも絶賛されていたので観に行った次第である.

 

映画を見た感想は,正直に”面白い”の一言に限る.

 

何が面白いのか.

人によって様々な感想があると知りながら,僕の考えを述べたい.

 

シン・ゴジラは,ただのゴジラが出てきて暴れて終わり,というお話ではない.ゴジラがきっかけで動き出す,本当に極限にありそうなリアリティを映画に留めた,という印象である.

自分は自衛隊などに関する基礎知識はないが,政府の人間が「きっとこうするであろう」という動きに対して,ものすごく共感して苛立ちを感じてしまったのである.

その苛立ちや不安を押し避ける結末によって,よくわからない爽快感に溢れ,映画館を出ることができた.

 

 

庵野秀明は,実際にゴジラが現れた時どのような対応を取るのかを,防衛省自衛隊に協力してもらい,ミーティングを繰り返していくうえで,更なるリアリティを追求していったそうだ.

シン・ゴジラ - Wikipedia

 

映画中に,人が血を吹き出して死ぬような表現は一切なかった.描写されたのはグチャグチャになった町並みと,その直前の家族の風景だけである.それなのに,僕は手に汗を握りながら映画を見ていた.

物語の進み方もテンポよく,そして疑問に思うこともなく進んでいった.まるで,自分もゴジラによる被災地域の一人としてドキドキしながら終始映画を見ることができた.それがきっと面白さの要因なんじゃないかと思う.

 

ゴジラは,天災に置き換えることもできると思う.

 

例えば大地震に置き換えてみる.東京近辺は高層ビルや電車は軒並み使い物にならなくなり,実際の住民たちは理解の範疇外に起こる出来事にうろたえ死んでいくだろう.

東日本大震災の時の原子力発電所の問題(現状でも解決はしていない)による,放射線による被害は,僕ら国民にはよくわからないものだった.それによって日常を汚染されていくさまは,ゴジラそのものだと思う.

非現実なのに,現実のような錯覚を起こさせる.あの映画は本当に素晴らしいと思う.

 

また,演技力の高さで評価される長谷川博己石原さとみ石原さとみは可愛さもピカイチだが)の演技は,映画の世界観を損なうなんてことはなく,むしろ引き立てていた.

 

ゴジラとは,今現在の世界では考えられない虚構である.つまり,現実かけ離れた存在である.しかし,なぜ映画を見た人は,その映画に陳腐さを感じないのか.これは,ゴジラ以外の部分が全て”現実”だからである.現実に囲まれた虚構は,現実に見えてしまう,ということだろう.

 

 

あの感動や迫力は,テレビの画面では絶対に味わえない.

ぜひ今のうちに映画館で「シン・ゴジラ」を見てほしい.

何かが変わるわけではないが,つまらない日常が少し潤うことは間違いない.(明日友達に話したくなると思う)

 

(一番最後に意味深なラストがあったり,エヴァ好きな人からは深くまで読み取ってああだこうだ書いている文章もあるとは思うが)ただ,純粋に見て楽しめばいいと思う.